理系でも中和反応の定義は若干混乱しています。
明確に押さえておきましょう。
中和反応
酸と塩基が関係する反応(一般には「酸塩基反応」と呼ばれる)のうち
「酸と塩基が反応して、互いの性質を打ち消しあう」反応を指す
酸と塩基が関係する反応(一般には「酸塩基反応」と呼ばれる)のうち
「酸と塩基が反応して、互いの性質を打ち消しあう」反応を指す
具体的には、酸が放出したH+と、塩基が放出したOH-がすべて反応した時に「中和完了」となります。
例えば塩酸と水酸化ナトリウムの反応は、次のように表されます。
HCl+NaOH→NaCl+H2O
また硝酸と水酸化カルシウムが反応すると、次のようになります。2HNO3+Ca(OH)2→Ca(NO3)2+2H2O
二酸化炭素と水酸化ナトリウムではどうでしょうか。水酸化ナトリウム水溶液に二酸化炭素を通じると次のように反応します。
CO2+2NaOH → Na2CO3+H2O
ちょっと分かりにくければ次のようにも書けます。二酸化炭素は、水に溶けると炭酸となります。これが2価の弱酸でしたね。
CO2+H2O→H2CO3
H2CO3+2NaOH → Na2CO3+2H2O
H2CO3+2NaOH → Na2CO3+2H2O
このように多くの場合、中和反応がおこると水分子が生じます。
これをイオン反応式で表すと次のようになります。
H++OH- → H2O
このとき中和熱56kJ/molが発生します。この値は中和反応ならすべて似たような値になるので、中和反応の本質はこの水ができるイオン反応にあるということが出来ます。
ほかのNa+とかCl−とかはどうしたかというと、これらは水の中でイオンの状態で浮いてるだけで反応に絡んでこないんです。
たとえば塩酸と水酸化ナトリウムなら
HCl→H++Cl-
NaOH→Na++OH-
このように電離するんでしたね。NaOH→Na++OH-
中和するとH+とOH-が反応して水になりますが、Na+とCl-は浮いたままです。
だからイオン反応式には書いてはいけません。もし書いてしまうとこんなクドイ感じになります。
H++Cl-+Na++OH- → Na++Cl-+H2O
また、中和反応でも水の生成しない中和反応もあります。ブレンステッド・ローリーの定義で紹介したアンモニアと塩酸の反応です。
NH3+HCl → NH4Cl
もちろんアンモニア水溶液と塩酸との中和でも同じ事が起きますが、アンモニアと塩化水素を気体同士で反応させても中和します。このときには水が反応に絡みません。