前回見てきたように、水溶液である限りは[H+]と[OH-]をかけると常に1.0×10-14という値になることが分かっています。
さて、お気づきでしょうか。[H+]や[OH-]の指数の部分だけみたら、酸性や塩基性の強さが分かってしまうんです。
酸塩基とイオン濃度
さらに[H+]と[OH-]は片方が分かればもう片方も分かりますから、どっちかだけを目安にしたらいいですね。普通は[H+]を使います。
[H+]の指数部分から-をとったものを、水素イオン指数pH(ペーハーもしくはピーエイチ)といいます。
塩基の場合は、[OH-]から[H+]を計算して指数を見ます。
この方法でpHが分かるのは、1.0×〜の形になっているときだけですが、化学Tの範囲ではすべてこの形で出てきます。
(化学Uでは「1.0」のところも変わってきますが、これについては後述します。)
さきほどの表の右側を、pHに書き換えました。
[H+]とpH
pHはふつう、0から14の間の値をとります。
では中途半端な[H+]でのpHを計算します。
pHの本当の定義は、次のようなものです。
水素イオン濃度[H+]の逆数の常用対数をとったものをpHとする。
1 pH=log―――=-log[H+] [H+]
1.0×〜の形だと、指数部を取るだけで決まるわけです。しかし2.0、3.0などという数字になると、それでは決まりません。
たとえば[H+]=2.0×10-3のとき、log2=0.30とすると
pH=-log(2.0×10-3)=-log2+3=2.70
となります。 ふつうlog2とlog3の値は与えられますので、これを用いて計算します。