これまでは、溶媒としての水に電解質を溶かして、電解質の電離について考えてきましたが、今回は水そのものの電離を考えます。
水は電気をよく通す?
「水は電気をよく通す」といわれていますが、純水は電気をほとんど通しません。水は溶媒として非常に優秀で、様々な物質を溶かします。実際に身の回りに存在する水には、空気中のCO2などが溶けていて幾分かの電気を通します。このことから、誤った認識が生まれたのではないでしょうか。
それでは本当に水は全く電気を通さないのかというと、実はごくわずかに電流を通します。 ドイツのコールラウシュは、水を空気にもガラスにも触れさせないようにした特別な蒸留装置によって、42回の蒸留を繰り返して純水を得て、その後この純水の電気伝導度を測定して、水がごくわずかに電気を通すことを発見しました。
電気を通すということは、水もわずかながら電離しているということです。
このとき水は次のように電離しています。
H2O⇔H++OH-
このときH+とOH-は同じ数だけあり、25℃においてどちらも濃度は1.0×10^-7〔mol/l〕であることが分かっています。化学では、ある物質Aのモル濃度を[A]のように表すので、次のように書けます。
[H+]=[OH-]=1.0×10-7〔mol/l〕