1859年、フランスのプランテが発明した電池で、現在でも車のバッテリーや非常用電源などに用いられています。現代でも使用に堪える鉛蓄電池の一番のポイントは、充電可能ということです。
鉛蓄電池は負極に鉛(灰色)、正極に酸化鉛(W)(褐色)、電解液に約30%希硫酸(密度約1.25g/cm3)を使っていて、構成は次のように表されます。
鉛と酸化鉛(W)のどちらが負極でどちらが正極か、混乱しやすいところです。イオン化傾向による判断は難しいので、酸化還元反応としての見方で考えていきます。ここは1章に戻って考えましょう。鉛の酸化数はもちろん0、酸化鉛(W)の中の鉛の酸化数は+Wです。ということは、この2つの物質の間で酸化還元反応が起きた場合、どちらが酸化剤でどちらが還元剤になるでしょうか?
下図の関係はキッチリと理解してくださいね。
酸化鉛(W)⇔(自分の酸化数高→低、相手の酸化数低→高)⇔酸化剤 ⇔電子貰う⇔ 正極
では順に反応を見ていきましょう。
負極では、上の表で見たとおり、酸化されてPb2+になります。しかし液中のSO42-とすぐに結合して、硫酸鉛(U)PbSO4となって極板に付着します。
すると正極では、電子をもらって酸化鉛(W)が還元されます。このとき、負極と同じく硫酸鉛(U)PbSO4となって極板に付着します。
鉛蓄電池全体では、このような反応が行われています。
正極 :PbO2+4H++SO42-+2e− → PbSO4+2H2O
全体 :Pb+PbO2+2H2SO4 ⇔ 2PbSO4+2H2O