化学魔の還元

電池電解編10ans.電気分解の具体例解答



食塩水(陽極:白金 陰極:白金)


1、イオン・極板確認
水溶液中のイオンをすべて書き出します。
陽イオン: + Na+
陰イオン: Cl- OH-

次に極板は
陽極板:白金、陰極板:白金
となっています。極板が溶解することはないですね。

2、生成物確認
次に析出、発生する物質を考えます。
陰極では+が反応してH2が発生し、陽極ではCl-が反応してCl2が発生します。
ここでは水酸化物イオンは反応しません。陰イオンのイオン化傾向を見直しておきましょう。



3、半反応式
各極板でのイオン反応式(半反応式)を書きましょう。
+が反応してH2が発生する反応は、水の電気分解でやったものと同じですね。これらを踏まえると

陽極:2Cl-→Cl2+2e-
陰極:2H++2e-→H2

このような半反応式が書けます。


4、全体の反応式
それでは全体の反応式を書きあげましょう。
半反応式から電子e-が消えるように調整して足します。この場合は

2Cl-+2H+→2H2+Cl2

これで完了です。
2e-は消えてしまいましたが、必ずどこかにメモしておきましょう。




硝酸銀水溶液(陽極:白金 陰極:白金)


1、イオン・極板確認

水溶液中のイオンをすべて書き出します。
陽イオン: Ag+ +
陰イオン: OH- NO3-

次に極板は
陽極板:白金、陰極板:白金
となっています。極板が溶解することはないですね。

2、生成物確認
次に析出、発生する物質を考えます。
陰極ではAg+が反応してAgが析出し、陽極ではOH-が反応してO2が発生します。
3、半反応式
各極板でのイオン反応式(半反応式)を書きましょう。
OH-が反応してO2が発生する反応は、水の電気分解でやったものと同じですね。これを踏まえると

陽極:4OH-→O2+2H2O+4e-
陰極:Ag++e-→Ag

このような半反応式が書けます。


4、全体の反応式
それでは全体の反応式を書きあげましょう。
半反応式から電子e-が消えるように調整して足します。この場合は
4OH-+4Ag+→O2+2H2O+4Ag
これで完了です。
4e-は消えてしまいましたが、必ずどこかにメモしておきましょう。




ヨウ化カリウム水溶液(陽極:白金 陰極:白金)


1、イオン・極板確認

水溶液中のイオンをすべて書き出します。
陽イオン: + +
陰イオン: - OH-

次に極板は
陽極板:白金、陰極板:白金
となっています。極板が溶解することはないですね。

2、生成物確認
次に析出、発生する物質を考えます。
陰極では+が反応してH2が発生し、陽極では-が反応してI2が生成します。

3、半反応式
各極板でのイオン反応式(半反応式)を書きましょう。
+が反応してH2が発生する反応は、水の電気分解でやったものと同じですね。これを踏まえると

陽極:2I-→I2+2e-
陰極:2H++2e-→H2

このような半反応式が書けます。


4、全体の反応式
それでは全体の反応式を書きあげましょう。
半反応式から電子e-が消えるように調整して足します。この場合は
2I-+2H+→I2+H2
これで完了です。
2e-は消えてしまいましたが、必ずどこかにメモしておきましょう。




硫酸銅(U)水溶液(陽極:白金 陰極:白金)


1、イオン・極板確認

水溶液中のイオンをすべて書き出します。
陽イオン: Cu2+ +
陰イオン: OH- SO42-

次に極板は
陽極板:白金、陰極板:白金
となっています。極板が溶解することはないですね。

2、生成物確認
次に析出、発生する物質を考えます。
陰極ではCu2+が反応してCuが析出し、陽極ではOH-が反応してO2が発生します

3、半反応式
各極板でのイオン反応式(半反応式)を書きましょう。
OH-が反応してO2が発生する反応は、水の電気分解でやったものと同じですね。これを踏まえると

陽極:4OH-→O2+2H2O+4e-
陰極:Cu2++2e-→Cu

このような半反応式が書けます。


4、全体の反応式
それでは全体の反応式を書きあげましょう。
半反応式から電子e-が消えるように調整して足します。この場合は
4OH-+2Cu2+→O2+2H2O+2Cu
これで完了です。
4e-は消えてしまいましたが、必ずどこかにメモしておきましょう。



硫酸銅(U)水溶液(陽極:銅  陰極:白金)


1、イオン・極板確認

水溶液中のイオンをすべて書き出します。
陽イオン: Cu2+ +
陰イオン: OH- SO42-

次に極板は
陽極板:銅、陰極板:白金
となっています。
ここで陽極板に銅が用いられていて、これといって強い還元剤があるわけでもないので、陽極は溶解します。
2、生成物確認
次に析出、発生する物質を考えます。
陰極ではCu2+が反応してCuが析出し、陽極では極板Cuが溶解してCu2+が生成します。

3、半反応式
各極板でのイオン反応式(半反応式)を書きましょう。
初めての形かも知れませんが、反応に忠実に書くと

陽極:Cu→Cu+2+2e-
陰極:Cu2++2e-→Cu

このような半反応式が書けます。


4、全体の反応式
この場合は反応式は書けません。
陽極が溶けて陰極に張り付いてるだけなので、反応前後で物質が変化していないからです。
しかし一見無意味に見えるこの反応も、工業的にはとても重要なプロセスを含んでいるのです。


今回は、陽極が溶けるパターンとして理解してください。