化学魔の還元

脂肪族編2-2.アルデヒドの製法と性質

一般に第一級アルコール(R−CH2−OH)の酸化によって得られます。

・ホルムアルデヒド
刺激臭のある無色の気体で、水によく溶けるので水溶液として利用されています。37%水溶液はホルマリンと呼ばれ、防腐剤・消毒剤・標本の保存液・合成樹脂の原料などに使われています。
シックハウス症候群は、壁紙の防腐剤として用いられたホルムアルデヒドが原因で発症します。

実験室的製法
赤熱した銅にメタノールの蒸気を触れさせると刺激臭がしてホルムアルデヒドが発生します。

2CH3OH+O2→2HCHO+2H2

補足:銅Cuを加熱すると酸化銅(U)CuOとなります。
CuOはメタノールに対して酸化剤としてはたらき、H原子を2つ奪ってホルムアルデヒドが生成します。
結局Cuは空気中のO原子とメタノールのH原子が反応する仲立ち(触媒)としてはたらいています。触媒として、白金Ptを使う場合もあります。


・アセトアルデヒド
刺激臭のある無色の液体ですが、沸点が20.2℃であるから揮発性が高いです。水・エタノール・ジメチルエーテルなどによく溶けます。
二日酔いは、エタノールが分解されてできたアセトアルデヒドが原因物質です。

実験室的製法
ホルムアルデヒドと同じようにエタノールの蒸気と赤熱した銅とを接触させることで生成します。

2CH3CH2OH+O2→2CH3CHO+2H2

アセチレンに水を付加することで、不安定なビニルアルコールの状態を経て、アセトアルデヒドが得られます。

CH≡CH + H2O → CH2=CH-OH → CH3COH

また、硫酸酸性中の二クロム酸カリウム水溶液などでエタノールを酸化するとアセトアルデヒドが生成します。

CH3CH2OH→CH3CHO+2H++2e

工業的製法
塩化パラジウム(U)PdCl2・塩化銅(U)CuCl2を触媒として、これらを水溶液とし、この中にエチレンCH2=CH2と酸素を吹き込んで製造します。

2CH2=CH2+O2→2CH3CHO