途中までは酸塩基と同じ
酸化還元反応も酸塩基反応も、どちらも「授受」を扱っているので、反応式の導き方も同じです。酸塩基反応では、酸の電離と塩基の電離を持ってきて、価数を合わせてたしあわせました。これと同じことを酸化還元反応でも行えばよいのです。
酸化還元反応式の導き方
導き方を紹介します。ここでは、希硝酸と二酸化硫黄との反応を取り上げて考えます。
- 酸化剤と還元剤の半反応式を並べる
- 電子の数が一致するように、式全体を定数倍する
- 足し合わせる(イオン反応式が完成)
- イオンのペアを考えて付け加える(酸化還元反応式の完成)
1.酸化剤と還元剤の半反応式を並べる
酸化剤は希硝酸で、還元剤は二酸化硫黄です。なので、次の式を使います。
酸化剤 : NO3-+3e-+4H+ → NO+2H2O
還元剤 : SO2 + 2H2O→ SO42- + 4H+ + 2e-
2.電子の数が一致するように、式全体を定数倍する
酸化剤の式を2倍、還元剤の式を3倍します。
酸化剤 : 2NO3-+6e- + 8H+ → 2NO+4H2O
還元剤 : 3SO2 + 6H2O→ 3SO42- + 12H+ + 6e-
3.足し合わせる
足し合わせれば電子が打ち消し合うはずです。
2NO3- + 3SO2 + 8H+ + 6H2O → 2NO + 3SO42- + 4H2O + 12H+
両辺に同じものがある場合は、これらも消してしまえばOKです。
2NO3- + 3SO2 + 2H2O → 2NO + 3SO42- + 4H+
この時点で、酸化還元反応にかかわるイオン反応式は完成しています。ここに出てこないイオンは反応に絡んでないということです。
4.イオンのペアを考えて付け加える(酸化還元反応式の完成)
ここに苦手意識を持っている人もいるかもしれません。この操作は、水溶液の中にはいるんだけれども反応には絡まなかったイオンを付け加える操作です。
左辺から考えていきます。NO3-というイオンがあります。これはもともと「希硝酸」だったはずです。なので、両辺にH+を2つ加えて硝酸にしてあげましょう。
2HNO3 + 3SO2 + 2H2O → 2NO + 3SO42- + 6H+
さて右辺なのですが、これは右辺の中にあるイオンを組み合わせて化合物の形にしてやればOKです。この場合、硫酸イオンが3つと水素イオンが6つあるので、硫酸3つをつくればちょうど良い形になります。
2HNO3 + 3SO2 + 2H2O → 2NO + 3H2SO4
こちらも練習問題を作ったのでそれを解いてみてください。