molの目的は、物質の重さから個数を求めることだといいました。そのためいくつかのステップを踏まなくてはいけないのですが、後々で、物質を構成している原子どうしの質量比が必要になります。これが原子量です。
比ですから基準が必要です。ある原子の重さを基準にして「この原子は基準原子の何倍の重さか?」を考えればいいわけですね。普通の感覚なら、一番軽い元素である水素を基準に考えます。
ですが、いろいろあってそうではないんですよ。(詳しくは原子量基準の移り変わりを見てください)現在は、12Cという原子を基準にしています。
- 原子の原子量
- ある原子の原子量とは、その原子が12C原子の重さの何倍なのかを考えたあと、その値を12倍したもの
12C原子が基準ですから"12C原子の重さの何倍なのか"というのが重要なのは分かると思います。ですが、その値をさらに12倍したものを原子量と決めています。これは原子量を質量数に近付けるため、特に1H原子の原子量を1に近付けるためです。
16Oという原子の質量は12C原子の質量の4/3である。その値を12倍したら16になる。だから16Oという原子の原子量は16である。これは質量数と一致していて便利だ。
2H(一般には重水素と呼ばれる)という原子の質量は12C原子の質量の1/6である。その値を12倍したら2になる。だから2Hという原子の原子量は2である。これも質量数と一致していて便利だ。
この原子量というのは比の値ですから、原子量には単位がないということに気をつけなければいけません。ちなみに単位のない数を無名数といいます。