化学魔の還元

物質量編1.molは何のために必要か

人間側の都合でつくられた概念って、案外たくさんあります。molもその一つです。

過不足のない反応

化学反応というのは、粒子と粒子の反応です。たとえば「水素と酸素が化合して水になった」というとき、私たちは次のような化学反応式を書きます。

2H2 + O2 → 2H2

ここでH2とかO2とかH2Oというのは、それぞれ「水素分子」「酸素分子」「水分子」を表しています。仮に、水素2分子と酸素1分子を容器にいれて火をつけると、水分子が2つできるわけです。

もちろん、分子の数の比さえ合っていればいいのですから、水素4分子と酸素2分子を容器に入れて火をつけても、ちゃんと水分子4つに化けてくれます。もし水素分子が4つなのに酸素分子が3つある状態で火をつけると、水分子は4つできますが、酸素分子が1つ余ってしまいます。

水素2分子と酸素1分子を持ってきて火をつける反応や、水素4分子と酸素2分子を持ってきて火をつける反応のように、持ってきた分子があまりなくすべて反応すること過不足なく反応するといいます。

反応式の係数と粒子数

過不足なく反応させるためには、容器に入れる分子数の比を係数比に合わせてやればいいわけです。水素と酸素なら、水素分子の数:酸素分子の数=2:1であれば、過不足なく反応します。水素分子2個と酸素分子1個、2000個と1000個、146817144614個と73408572307個、どれも過不足なく反応します。要は分子数の"比"が大事なんです。

ここで大きな問題が発生します。当たり前ですが原子は小さすぎるので一つ一つ個数を数えることができないのです。よって、別の何かを計測することで間接的に個数を数える方法を発明しなければいけないということになりました。

それを解決するのがmolなのです。もっと具体的に言うと、molを使えば、物質の重さを量ることで間接的に個数を求めることができるのです。実際にどうやって求めるのかは、これから順を追って説明していこうと思います。

まとめ

molの必要性
  • 化学反応を過不足なく行うためには、分子の数を数えないといけない
  • しかし、分子は小さすぎて数えることができない
  • 物質の質量から粒子の数を計算できるようにすればいい → molの発明