次に、化合物にどんな元素が含まれているかを調べる方法を紹介します。
1.試薬による確認
石灰水の白濁 | 炭素C |
硫酸銅(U)無水塩の青変 | 水素H |
塩化コバルト紙の赤変 | 水素H |
硝酸銀水溶液の白濁 | 塩素Cl |
水酸化ナトリウムとともに加熱してアンモニア発生 | 窒素N |
酢酸鉛(U)の黒色沈殿 | 硫黄S |
石灰水は説明不要でしょう。ある物質を分解して気体が発生したとします。その気体を石灰水の中でブクブクさせて白濁したら、その物質は炭素Cを持っているとわかります。白濁するとき次のように反応します。
Ca(OH)2+CO2→CaCO3↓+H2O
硫酸銅(U)無水塩は化学式CuSO4で白色の結晶です。これは水に溶けると、結晶に水を取り込んで硫酸銅(U)五水和物(CuSO4・5H2O)という青い物質になります。
ある物質を分解して液体が生成したとします。それを硫酸銅(U)無水塩に吸わせて青くなったら、元の物質には水素Hが含まれていると分かります。
塩化コバルトも化学式CoCl2で、青色の結晶ですが、水に溶けると赤くなります。これによって水素Hを確認します。
硝酸銀水溶液は化学式AgNO3で褐色びんに入っています。塩素Clがあると、塩化銀AgClの白色沈殿ができます。
AgNO3+NaCl→AgCl↓+NaNO3
Agの化合物で白色の固体というのはAgClだけなので、塩素Clが確認できます。水酸化ナトリウムは化学式NaOHで強いアルカリ性を示します。対してアンモニアは化学式NH3で弱いアルカリ性です。
「強いものを入れると弱いものが去る」という反応は多く見られます。
酢酸鉛(U)は化学式Pb(CH3COO)2で、この水溶液をろ紙に染みこませて乾燥させたものを鉛糖紙といいます。その名の通り少し甘味を持つのですが、極めて猛毒なので決して舐めないように(笑)
Pb(CH3COO)2+H2S→PbS+2CH3COOH
この他にも試薬による元素の確認法はたくさんあります。主に無機分野で見ていくことになると思います。
2.炎色反応
炎色反応とは、物質を炎の中に入れると物質特有の色が見られる現象で、その炎の色から物質を同定することができます。
調べたい物質を揮発性のある塩化物水溶液にして、白金線につけたものをガスバーナーの外炎で炙って色を見ます。これで赤い炎が出ればリチウムLi、黄色ならNaが確認できます。
Li:赤 Na:黄 K:紫 Cu:青緑 Ba:黄緑 Ca:橙赤 Sr:紅
これを「リアカー無きK村で動力に馬力借るとするもくれない」と覚えます。
炎色反応は、元素の単体のままだと見えにくいのですが、塩素Clが存在すると塩化物をつくって炎色反応が見やすくなります。炎色反応を見るときに塩化物水溶液にするのはこの理由によるのですが、これを逆に使って塩素Clを確認することもできます。
つまり、例えば銅線などを加熱してから(この時点では炎色反応は見られない)調べたい物質を銅線にくっつけます。そして再び炎に入れて炎色反応が見られると、塩素Clの存在が確認されます。
この方法を バイルシュタインテストといいます。