同じ元素から成る単体なのに、その構造の違いによって異なる性質を示すものがあります。これを同素体といいます。
同素体をもつ元素は4つ「同素体はSCOP(スコップ)で探せ!」と覚えてください。
硫黄S | 斜方硫黄 | 単斜硫黄 | ゴム状硫黄 | |
炭素C | 黒鉛 | ダイヤモンド | 無定形炭素 | フラーレン |
酸素O | 酸素 | オゾン | ||
リンP | 赤リン | 黄リン |
では一つずつ見ていきましょう。それぞれの違いを押さえてください。
1.硫黄
硫黄の同素体には斜方硫黄・単斜硫黄・ゴム状硫黄の3つがあります。
- 斜方硫黄
- 形状
- 常温常圧では一番安定していて、他の二つも常温放置しておくと勝手に斜方硫黄になります
- 単斜硫黄
- 針状の黄色結晶
- 常温でほっとくと勝手に斜方硫黄に戻る
- ゴム状硫黄
- 無定形の黒褐色固体
- 名前のとおりゴムのように弾性がある
- 常温では不安定で、放っとくと勝手に斜方硫黄に戻る
硫黄で重要な違いは、CS2(二硫化炭素)に対する溶解性の違いです。
斜方硫黄 | 単斜硫黄 | ゴム状硫黄 | |
CS2に対する溶解性 | ○ | ○ | × |
2.炭素
炭素の同素体には、黒鉛・ダイヤモンド・無定形炭素・フラーレンの4つがあります。この中で特に覚えてほしいのは黒鉛とダイヤモンドです。
- 黒鉛(グラファイト)
- 黒灰色で軟らかい固体
- 化学式は単にCと書かれる
- 金属じゃないのに金属光沢を持つ(だから「鉛」と呼ばれたわけです。)
- 平面層状構造
- 共有結合の結晶としては例外的に電気伝導性がある
- ダイヤモンド
- 無色透明の固体
- 化学式は単にCと書かれる
- 立体網目構造→世界一かたい物質
- よく磨いたダイヤモンドは美しく輝く
- 無定形炭素
- 黒色固体
- 化学式は単にCと書かれる
- 普段見るススやら燃えがらがこれ
- スキマだらけ・穴だらけの構造(多孔質)
- フラーレン
- 黒色固体
- C60・C70・C80などの大きな球形分子の総称
3.酸素
酸素の同素体には酸素O2とオゾンO3の2つがあります。どちらも常温常圧では気体の分子です。
- 酸素
- 無色無臭の気体で、空気中に約21%含まれる
- 分子式O2
- 酸化作用がある
- オゾン
- 淡青色でニンニクのような特異臭の気体
- 分子式O3
- 不安定で、強い酸化力→漂白や殺菌に用いられる
- 地球上空には、オゾン層というオゾンの密度が高い場所があり、紫外線などが地表に直接降り注ぐのを防いでいる
4.リン
リンの同素体には赤リンと黄リンの2つがあります。この2つは対照的な性質を示すので、比較しながら見ていってください。
- 赤リン
- 暗赤色で粉末状
- 黄リンに比べて安定
- 二硫化炭素CS2に対して不溶
- 毒性は少なく、自然発火しない
- 黄リン
- 淡黄色でニラのような特異臭のあるロウ状固体
- 二硫化炭素CS2に対して可溶
- 空気中に置いておくと自然発火するので水中保存する
- 極めて猛毒